同じ刃の包丁でも、柄の木材が違うと重さ・手触り・見た目・価格が変わります。当店の堺孝行は朴・ウェンジ・黒檀の3種類から柄を選べるので、「どれにすればいいか」とよく聞かれます。このページでは、明治5年(1872年)創業の林金物が、柄の各部の名前、形の違い、素材ごとの特徴、手入れと交換までをまとめます。

柄の各部の名前
- 柄(え):手で握る部分。木・樹脂・金属など
- 口輪(くちわ)/口金(くちがね):刃と柄の境目の輪。水牛の角や樹脂で、柄の割れと水の侵入を防ぐ
- 中子(なかご):刃の根元から柄の中に差し込まれている金属部分。和包丁はここを柄に差し込んで固定する
柄の形:和包丁型と洋包丁型
| 和包丁型(差し込み柄) | 洋包丁型(鋲止め・一体型) | |
|---|---|---|
| 固定方法 | 中子を木の柄に差し込む | 柄の板を鋲で留める、または金属と一体 |
| 重さのバランス | 柄が軽く、刃側に重心 | 柄が重めで、手元に重心 |
| 断面の形 | 八角・D型(片側が膨らむ)・丸・栗形 | 手の形に合わせた曲線 |
| 柄の交換 | しやすい | 難しい |
八角柄は、八つの角が手に当たって握りが安定し、左右どちらの手でも同じように使えます。当店の堺孝行(黒影・イノックス和式)とオリジナルの生紬・波舞は八角柄です。D型は片側が膨らんで右手に収まる形で、片刃の和包丁に多く、栗形もその仲間です(当店の玄粋は栗形)。
柄の素材比較:朴・ウェンジ・黒檀・その他
| 素材 | 重さ | 色・見た目 | 水への強さ | 経年変化 | 価格 |
|---|---|---|---|---|---|
| 朴(ほお) | 軽い | 明るい白〜淡い黄色 | やや弱い。水を吸いやすく、黒ずみやすい | 使い込むと飴色に。汚れも付きやすい | 最も手頃 |
| ウェンジ | 中〜重め | 濃い茶色に黒い縞。木目がはっきり | 強い。油分が多く水を弾きやすい | 色が深まり艶が出る | 中間 |
| 黒檀(こくたん) | 最も重い | 黒〜濃い茶。緻密で艶がある | 強い。硬く水を吸いにくい | 磨かれて艶が増す | 最も高い |
| ウォルナット | 中 | 茶色。落ち着いた木目 | 中 | 色が深まる | 中間(当店のオリジナル生紬・波舞) |
| 樹脂・積層材 | 中 | 均一 | 非常に強い | ほぼ変化しない | 手頃 |
木の重さは、おおよそ朴が最も軽く、ウェンジはその1.5倍前後、黒檀は2倍前後の密度があります(木材の一般的な比重による目安です)。同じ刃でも柄が重いほど重心が手元に寄り、どっしりした握り心地になります。
どれを選ぶ?
- 軽快に使いたい、和包丁らしい見た目が好き → 朴。手入れは少し気を使う(水気を拭く・たまに油)
- 水に強くて木目も楽しみたい、価格は抑えたい → ウェンジ。3つのなかで最もバランスがよく、当店でも選ばれることが多い
- 重厚感と艶、贈り物や長く育てる一本 → 黒檀。最も重く、価格も上がる
刃はどの柄でも同じです。迷ったら、普段の包丁が軽いと感じている方は黒檀、重いと感じている方は朴が向きます。
木の柄の手入れ
- 洗ったあと、柄と口輪まわりの水気を拭き取る。柄が傷む原因はほぼ水分
- つけ置き・食洗機は使わない
- 月1回ほど、食品に使える乾性油(クルミ油・亜麻仁油)を薄く塗り込む。特に朴は効果が大きい
- 黒ずみが気になるときは、目の細かい紙やすりで軽く表面を整え、油を塗り直す
柄が傷んだら
ぐらつき・割れ・口輪の緩みが出たら、使用をやめて交換か修理を。和包丁型の柄は交換しやすく、朴からウェンジや黒檀への変更もできます。詳しくは包丁の柄の交換・修理をご覧ください。当店でお買い上げの包丁は、店頭・郵送で柄の交換を承っています。
当店の柄が選べる包丁
- 堺孝行 黒影(朴・ウェンジ・黒檀)
- 堺孝行 イノックス和式(朴・ウェンジ・黒檀)
よくあるご質問
Q. 柄が違うと切れ味も違いますか?
変わりません。刃は同じで、違うのは重さ・手触り・見た目と価格です。
Q. 八角柄は左利きでも使えますか?
使えます。八角柄は左右対称で、両刃の包丁なら利き手を問いません。
Q. 水牛の角の口輪にひびのような模様があります
天然素材のため、模様やわずかなひび状の筋が出ることがあります。不良ではありません。