包丁が錆びたり、柄が黒ずんだりする原因は、ほとんどが「洗い方」と「洗ったあと」にあります。このページでは、明治5年(1872年)創業の刃物店・林金物が、毎日の洗い方、研いだ後の洗い方、やってはいけないこと、素材別の注意点を、順番にまとめます。

使った後の洗い方——3ステップ
- すぐ洗う:使い終わったら放置せず、流水と中性洗剤、柔らかいスポンジで洗います。刃は、刃先と反対側(背)から手を添え、刃に沿って一方向に動かします
- すぐ拭く:乾いた清潔な布で、刃・柄・口輪(刃と柄の境目)の水気を完全に拭き取ります
- 乾かしてからしまう:風通しのよい場所でしばらく置いてから収納します
柑橘・トマト・梅のような酸の強い食材や、塩分のあるものを切ったあとは、特にすぐに洗ってください。
研いだ後の洗い方
砥石で研いだあとの刃には、砥石の粒子と削れた金属が混ざった「研ぎ汁」が付いています。そのまま使うと料理に入るので、必ず洗います。
- 流水で研ぎ汁を流す。刃先に薄い金属のめくれ(カエリ)が残っていれば、仕上げ砥か新聞紙で軽く取る
- 中性洗剤と柔らかいスポンジで洗う。研ぎたての刃は鋭いので、スポンジを刃に対して直角に当てない
- 水気を拭き取り、乾かす。鋼の包丁は、研いだ直後が最も錆びやすいので、拭き残しに注意
やってはいけない洗い方
| NG | 何が起きるか |
|---|---|
| つけ置き・濡れたまま放置 | 錆、柄の黒ずみ・ひび、口輪の緩み |
| 食洗機 | 高温と洗剤で柄が割れ、刃も傷む。木柄・黒フッ素加工・鋼はすべて不可 |
| 金たわし・クレンザー | 刃に傷。黒フッ素加工や鏡面仕上げは特に傷が目立つ |
| 漂白剤に浸ける | 刃の腐食・変色 |
| 熱湯をかけたまま放置 | 急な温度差と水分で錆・柄の劣化 |
| 他の食器と一緒にシンクに入れる | 刃こぼれ・けが |
素材別の注意点
- ステンレス(AUS-8、V金10号など):基本の3ステップで十分。濡れたまま一晩置くと点錆が出ることがある
- 鋼(ハガネ・青紙など):洗ったらすぐ拭く。長期保管の前には椿油を薄く塗る
- 黒フッ素加工(黒影など):クレンザー・金たわしは膜を傷める。柔らかいスポンジで
- 木の柄(朴・ウェンジ・黒檀など):柄も水気を拭く。月1回、食品に使える乾性油を薄く塗ると、ひびと黒ずみを防げる
肉・魚を切ったあと
脂と塩分が残りやすいので、ぬるま湯と中性洗剤で洗います。まな板と一緒に、刃と柄の境目まで洗ってください。においが気になるときは、洗ったあとに乾いた布で拭き、風通しのよい場所で乾かせば十分です。熱湯での消毒は、水気をすぐ拭き取るなら問題ありません。
乾かし方としまい方
- 拭いたあと、立てかけるか、包丁差しに入れて乾かす。刃が他の金属に当たらないように
- 引き出しにしまうなら、刃カバー(鞘)を付ける
- 1か月以上使わないときは、完全に乾かし、刃に椿油を薄く塗って新聞紙で包む
錆が出てしまったら
軽い点錆なら、クリームクレンザーを布に付けて刃の流れに沿ってこすります(黒フッ素加工の包丁は除く)。深い錆や刃こぼれは、無理をせず研ぎ直しにお出しください。詳しくはお手入れ完全ガイドの「錆びてしまったときの対処法」をご覧ください。
よくあるご質問
Q. 食洗機で洗えますか?
木の柄の包丁は洗えません。高温と洗剤で柄が割れ、刃も傷みます。当店で扱う包丁はすべて手洗いです。
Q. 洗った後に油を塗る必要はありますか?
ステンレスの包丁は不要です。鋼の包丁は、毎日使うなら拭くだけで十分で、長期保管のときだけ椿油を塗ります。
Q. 研いだ後、すぐに使えますか?
研ぎ汁を洗い流し、水気を拭けばすぐ使えます。
Q. 洗剤は何を使えばいいですか?
普通の台所用中性洗剤で十分です。研磨剤入りの洗剤や漂白剤は避けてください。
研ぎ直しのご案内
当店でお買い上げの包丁は、研ぎ直しが初回無料(2回目以降1本1,500円〜・郵送対応)です。切れ味が落ちてきたら研ぎ直しサービスをご利用ください。